契約あれこれ
ちなみに前回の続き・・・デス。
前回のエントリーで書いたと思いますが、実は最近ある方からメールを頂きました。 その人はやはりこちらの会社と今交渉中なんですが、話がなかなか進まないとの事。 話がようやくまとまりそうになるといつも会社の方からのいちゃもんで結局、元の木阿弥という状態が続いてるとの事。 まあその人は、こっちの会社の人に、 「アメリカにいないから話がまとまらない」 等と文句を言われたと、書かれてありましたが、それは会社の言い訳と言うか都合でしょうね。 アメリカ人って、絶対に自分が悪い等とは言いませんしね。 それにしてもこの会社、ハナから日本人相手にしてるのに「日本にいるからまとまらないい」とは失礼きわまりないというか、何言ってやがるってかんじですが(苦笑) こっちにいたからと言ってまとまるもんでもないし、現にあたしなんかはこっちにいるからこそまとまらなくて困ってたりもするわけでして(笑) で、その人の知り合いも漫画家でらして、こちらの出版社からオファーを受けているが、アメリカの会社の性質を考えたらやはり注意を促すべきかどうかという相談のような内容でした。 まあ契約をまだ結んだ事が無いあたしがこういうことを言うのも説得力が無いかもしれませんが、これから先こちらの会社と契約する漫画家さんもいるかもしれませんし。 丁度いい機会だと思いますので、自分の知る得る限り、こちらでまとめてみる事にしました。 今後の参考にして頂ければと思います。* 基本的には、あたしはこっちでマンガを描くというのも選択肢の一つになり得ると考えてます。
こちらで仕事するにあたり、あたしは「こちらに住んでいる外国人」というところがネックになってますが、日本に住んでいる方だったらまた話は違ってきますから、話の持っていきようによってはいい契約が出来る可能性もあります。 ただ、映画とかになって大当たりしない限りは金銭的には日本の出版社ほどは稼げないという事は覚悟しておいた方がいいかもしれません。 でもこちらで出版されればそれも立派なキャリアになりますし、作品の幅も広がるでしょう。 ですから、これから描く事はアメリカで出版する事を肯定している前提での意見と考えてください。 1:まず、こちらの会社と交渉して、ある程度話が具体的になってきたら会社に契約書の提示を求めたほうがいいと思います。 それを延ばし延ばしにする会社は恐らく言いように使われてうやむやにされるだけの場合もありますので、そう言う場合は最後通牒を突きつけて、例えばあと一週間以内に返事をもらえない場合は仕事を引き受けない、等はっきりいった方がいいでしょう。 具体的な話や変更は、契約書をみたあとでも出来ますから、とにかく会社の本気度を確かめるためにはいいと思います。 あたしと違って日本に住んでいる場合は立場がそれなりに強いわけですから、下手に出る必要は全く無いです。 2:で、こっちの会社は「口約束も約束」というわけに行きませんから、なるべく具体的に細かい事まで契約書に書かれています。 しかし、そこはやはり契約書、ネイティブの人でも難しい単語等が並べられてるので、詳しい事はやはり弁護士等の専門家に相談する事をお勧めします。 あるいは、会社に契約書の日本語訳をつける事等を頼んでみるのも手かもしれません。 ただ、原稿料等、金銭面のことは弁護士まかせというわけにも行かないでしょうからちょっとその辺の補足。 日本の出版と違って、こちらは週刊誌に連載という制度はないですから、全て書き下ろしになります。 で、買い取りになると原稿料がもらえるわけです(ロイヤリティー無し)。 原稿料は、大抵70ドルから90ドルくらいと思われますが、10ドルくらいは交渉次第で値上げできる場合もあります。 逆に、自分でオリジナルをやる場合、コピーライトは自分に帰属、もしくは会社と折半の場合は原稿料は無し。 恐らくロイヤリティーは10%前後でしょう(恐らくこの数字は動かない)。 あと、会社によっては経費等は請求できないかもしれません。 少なくともあたしの交わした契約書では一切の経費は会社が持たないという物でしたね。ちなみにそこは大手です(笑)。 でも、出ないケースもあるというだけで、ダメ元で交渉する必要はあるでしょう。 3:依頼された作品の種類によって、例えば原作付きの場合は著作権が発生しないというのがこちらでよくあるケースですが・・・ これは以前に相談に乗って頂いた国際ライツに詳しい人のアドバイスにも基づいたものです。 版権元にもよりますが、その場合はほとんどの確率で契約書に「人格権」を主張しない旨の取り決めが書かれていると思われます。 この著作者人格権(人格権=Moral Rights)とは ◆公表権 著作物を公表するかしないか、公表するとすればどのように公表するかを決めること ができる権利。 ◆氏名表示権 著作物に氏名を表示するかしないか、表示する場合に本名を表示するかペンネームを 表示するかを決めることができる権利。 ◆同一性保持権 著作物の改変、変更、切除などを認めない権利。 これらを主張しないような内容になっていること、そして著作権そのものを渡すという事になっているわけです。 ただし、カバーに自分の名前をプリントする事を求めたり、海外版でも自分の名前の印刷、更に海外でのライセンス版がでたときに使用料を請求する事が出来るとの事。 そして、仮に今後、この会社と仕事をする事になった場合、特にオリジナル作品をやる場合はこの契約内容は避け、新たに契約書を作る・・・といったところでしょうか。 100%自分のオリジナルコンテンツの場合、つまり、同人誌等があらかじめ日本で出版、あるいはインターネットで作品を公開されてる場合はライセンスを折半ではなく、レンタルする事を交渉した方がいいでしょう。 それ以外だと、コピーライトは会社と折半になると思われます。 (大手はこっちを望むでしょうね) このときに注意するのは、例えば会社に未発表のアイディアを見せる場合は必ず、 本契約とは別にNondisclosure Agreement for Submitting Ideas、つまり「アイディアを無断で使わない同意書」にサインさせる事をお勧めします。 こちらでは出版社が無名のライターのアイディアを盗むという話は結構聞きます。 ちなみに、前のルームメイト(日系アメリカ人)もライターだったのですが、出版社に原稿を持っていったところ全く相手にされず、その後数年経って別の人の名前で同じ内容の本が同じ出版社から出たと言っていました。 こちらの出版社相手には用心するのに超した事はありません。 そのかわり、一度仕事をやって向こうの信頼を勝ち取ったら、また状況は違ってくるみたいですが。 まあこんな感じです。 そうそう、最後に大事な事。 契約交渉の際にはなるべくメールでのやり取りをして、記録を残しておく事をお勧めします。私はメールをPDFファイルにして残しておきました。 それと極力電話での交渉を避けるという事。 どうしても電話でする場合は近くに必ず弁護士を付けるという事。 この辺は以前のエントリーで、やり取りの顛末を書いていますので、興味のある方はそちらもどうぞ。 とにかく日本の会社と違うので、契約が成立するまでは、ドライに割り切った方がいいと思われます。 ちなみに、ちょっとずれますが、自分が交わした契約書で気になった問題の一つが税金関係。 その契約書には、原稿料を支払う際にアメリカでの税金をあらかじめ差し引いておくという物。 という事は、そうなると日本でも税金を払う事になるでしょうから、結果ダブル・タックスになるわけです。 その辺、アメリカの会社と取引している日本の会社や個人はどうやって対応してるんでしょうね? この辺についてはちょっと教えてもらえなかったんで、中途半端で申し訳ないです。 誰か詳しい方いらっしゃったらご教授お願いします・・ #146 契約あれこれ#147 契約あれこれ比呂志さん>
どうもです^^ なるほど、日本のアニメ制作の内情ってそんな感じなんですか・・・横のつながりが強いとはよく聞きますねえ。 しかし、こういう話を聞くと、日本のアニメ制作のシステムもやっぱり見直す必要が出てきてるのかもしれませんね・・・特に金銭面で。 結構こっちでも日本のアニメの需要もあるし、いったいなんでそんなに儲からないんだろって不思議に思ってたんですが・・・あまりアニメのシステムはよくわからないんですけど(汗。 >アメリカの場合やりとりは相当複雑そうですねぇ。 まあ大変には違いないですね。 日本の漫画家自信でこういう交渉ごとに直面する機会はほとんど無かった思うので、経験値がこの先上がればまた話は変わってくるんじゃないでしょうか。 それと、ほかの産業と違ってマンガをアメリカでやる事のリスクに対するメリットが、今まではさほど無かったって事なんじゃないかと思います。 でも最近では、こちらでも急成長の分野でもあるので、全く可能性はないとは言い切れないかなと思ってたりしますが、どうなんでしょうね。 #148 契約あれこれアニメって商業で言うとかなり「儲かるビジネス」と断言してもいいかもです。
今、日本でありえない数のアニメ作品が作られてるのが証拠かと。 儲からない商売やる馬鹿な会社もありませんしね。 で、何故アニメーター自身は安いかと申しますと利益の大半をスポンサー側が持っていって「制作サイド(アニメスタジオ)」に入って来てないからなのですよ。 話しによると20年前から金額が殆ど変わってないとか。 なので当然コチラ側に入ってくる収入も20年くらい前の報酬と大差ないのです。 物価は常に上がりつづけてるのにね。 後はもっと重大な問題なのですが… とある作品のアニメ1カットに対する単価が¥4.000-だとします。 ○メカが動きまくって派手な爆発などがある見ごたえバツグンのカット ○会話シーン、キャラの顔のアップで口をパクパクさせるカット ○新人アニメーターが仕上げた拙いカット ○ベテランが仕上げたとても丁寧に仕上げられたカット これら全部単価が¥4.000-均一なのですよ。 (若干差がある事もありますが) で、演出家はカッコいい重要なシーンは当然ベテランさんに頼みたいですよね? そうすると「ベテランさんでも丸々2日かかるくらい大変なカット」は当たり前のように上手い人に仕事の依頼行くわけです。 日給にしたら¥2.000-なワケですよ。 ベテランで2日かかるのなら新人なら下手したら一週間かかるかもしれません。 けど値段は据え置きです。 しかも上手くなればなるほど大変なの回されるから儲からない仕組みに。 これはアニメーター業が儲かる道理はありません。 更に困った事にアニメーターは「あの作品制作に関われるのならお金は少々安くてもいいや」とか言う人が多々居るのですよ。 そんな異常な環境では単価が今後上がる可能性は殆ど無さそうです。 まぁ、悪い面を書いてきましたが良い面もあるんですよ? 僕が現役でまだアニメーターやってる理由もそこにありますし。 ○仕事を探すまでも無く依頼はあっちからガンガン来る ○上手い作画監督の修正をじかに見れて勉強にもなる ○好きな原作の仕事だとちょっと嬉しい(笑 ここで一番重要なのは一番最初の「仕事が絶対に切れない」って事じゃないでしょうか? 絵描き業なんて収入面でとても不安定な職業なのは漫画家をされてたながてさんには語るまでも無いとは思いますが。 どんなに面白い漫画を描けても今現在連載されてる漫画を蹴落として連載枠を勝ち取らないと収入に繋がりませんしね。 どんな上手いイラストレーターでもツテや依頼が無いとスグに干上がります。 デザイナーもイラストレーターと同じく… 絵描き業なのに唯一アニメーターだけは仕事に絶対にあぶれないのですよ。 (よっぽど酷い絵を描く人は別) こう考えると絵を生業とする職業としてはそれほど酷くも無いかな? と思ってたりもしますけどね。 って、物凄い長文のレス失礼しました(^_^; #149 契約あれこれなーるほど、そう言う仕組みでしたか・・・
マンガがハイリスク、ハイリターンだとすると、アニメはローリスク、ローリタンってことですね。 でもここまで儲かる商売になってきてる事を考えたら、アニメーターの収入にも儲かった分だけのボーナス増やすとか、反映させた方がいいんじゃないかと思いました。 この辺は全くと言っていいほど無知でしたので、大変勉強になりました。 |
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日本の会社(といっても僕の場合アニメ会社しか知りませんが)の如何に口約束で適当にプロジェクトが進んで行ってるのかよくわかります。
仕事の依頼が来た時、スタジオ側は最初に「単価」と「請求書締切日&入金予定日」は言わないのが普通ですし(苦笑
ただし横の繋がりがとても強く、下手な事をしたら業界全体に情報が広がってしまいかねないので永遠にアングラ街道まっしぐらになる事も…